主人公は23歳と思いのほか若かった

押尾先生のことがまたにわかに話題になっているけど、なんとも胸が痛む。
や、念のため言っておくけど、彼に一切の同情の余地はないと思うし、好きでもなんでもない。ただ、押尾先生はわたしがちょうど中学生の青春 真っ只中のころにとても人気だったので(わたしも普通にかっこいいと思っていた。今で言う、小栗旬とか向井理ちょっと手前くらい人気あったん だよなあ)、なんというか、その多少なりともな栄光をリアルタイムで知る者としては空しいものがあるわけである。
クニミツの政ドラマ化とか、2001年のおとこ運とか、今思うとフジテレビのドラマがまだきらきらしていた(&それに見合う視聴率もコンスタントにとっていた)時代の作品に結構出ていらっしゃっ た。その中でわたしがダントツに好きだったのが、春ランマンというドラマ。


春ランマン DVD-BOX

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当時のわたしはちょうど雨上がりの宮迫が好きで(これまたワンナイ全盛期だったもので)、そのために見始めたのだが、しかし押尾学 はかっこよかった。ふっつーーーーに美青年だったんだよ!!!


肝心の物語は、若い男女6人が、当時世間に定着し始めていたルームシェアを通して成長していく群像劇。
 主人公のあかね(ともさかりえ)はインテリアショップのアルバイト。御塩さんはその同居人となる旅行会社のバイリンガルツアコン(そーだよ御塩さん といえばかっこいいのに語学まで堪能★みたいな、少し前の水嶋ヒロ先生みたいなスーパーイケメンだったんだよ当時は)の宗太役だった。で、周囲の 人間を巻き込んで日々騒動、成長、みたいな、ほんとフジテレビ的群像劇の王道をいった作品。これが当時中学生だったわたしにはすごくおしゃれに、そして切なく映りました。あかねが憧れるマグカップやらグラスやらインテリアやら洋服がとにかくかわいかったなあ。


酔っ払って男の人とすぐにどーにかなっちゃうような生活を変えたいと一念発起したり、おしゃれな部屋に住みたいと思い立ったり、インテリアデ ザイナーという夢を叶えたかったりでも挫折したり、お店にあるおしゃれなデザイナーズチェアが欲しくてちょっと生活費を削ったり。あかねはすごく一生懸命だけど時に不器用。

そんな生活 の中、かっこいいけど性格最悪(というか性格が合わないだけだと今になれば思うw)な宗太とルームシェアすれば当然毎日のようにぶつかり合うわけで。 おまけについ最近まで赤の他人だった友人達の恋愛騒動、人生のどたばたを垣間見れば自ずと自分自身を省みることにもなる。日々理想の自分との葛藤に悩む中で、ほんの少しの勇気や慰めをくれた同居人の優しさに惹かれていく心模様はとてもよくわかる。そういう20代前半の、大人なようでまだまだ全然できていない等身大の在り方をうまく描いているドラマだったのだ。
再三言うように、このころ、というかこのドラマの御塩先生はずるいくらいかっこいい。女好きだしずるがしこくていらっとくるのに、へこんだときなんかちゃんと優しい(って、これは女好きなら当然だよね今考えれば)。


作中で今もよく覚えているシーンは、物語後半、6人の中の一人・倫子(辺見えみり)と宗太がなりゆきでいい感じになっちゃって、キスとかしてしまうところ。倫子には丈二という彼氏(これも6人のうちの1人)がいるし、宗太も宗太でそろそろあかねとくっつくかも?ていう流れになっているところで、ほんとーになりゆきでそうなってしまう。結果的に何にもならないんだけど、これは当時のピュア中学生のわたくしとしてはかなりショッキングだったww だって好きになっちゃったとか二股とかでもなんでもなく、「なりゆきでそんな好きでもない人とキス」ってどゆこと!???wwwwってなった。作品展開にもそこまで支障をきたすわけでもなし(あかねの心理状況に一瞬大きな影響は及ぼすけどw)。
でも今思えば、なんていうか、これがすごく生々しいと思うんだよなあ。。あるあるとまでは言わないけれど、自分がちょうど彼らと同じ年代になってみて、あーたまにはそういうこともあるだろうね、お酒も入ってたら全てが適切な流れにはなるとは限らないよね、と思ってしまうフシが十二分にある。そこがまた人間としてまだまだ未成熟な20代という感じを如実に表していて、ああうまいなあと思うのである。


オープニングの映像がまたスタイリッシュで(6人それぞれのそれぞれらしいカットに名前テロップ…というベタ演出だけどw)、主題歌がLIV=御塩先生の曲、というもう思い出すだけで素敵なつくりだった。今思い出しても惚れ惚れするぜ。
なんだかんだ言いつつ、LIVはいい曲作ってたとおもう。。少なくともこの曲はよかったよ。ドラマにとても良く合っていた。

ちなみに春ランマンのあとの同枠ドラマは「天体観測」で、これまた言わずと知れた名群像劇ドラマですやん…。これはリアルタイムでは観てなかったけど、大学時代に再放送でぜんぶみたよ。「DAYS」とかもそうだし、10年くらい前は若者群像劇がコンスタントにあったのだね。ほんと、フジテレビドラマの栄光がまだまだ続いてたいい時代だった。



ところで、あかねや宗太の年齢をいつのまにか自分が追い越してしまっていたことに結構びっくりした。今になってみれば、という枕詞が多くついてしまうのにも無理はない。当時はちょっと背伸びした大人の世界だった物語が、等身大のリアルな物語になって共感の情が立ち表れることはしあわせなのかもしれないなあ。そして、それくらいになるまで記憶に残ることのできる作品は本当に素晴らしい。
と同時に、もう二度とピックアップされないに等しい作品にしてしまったという点で、やっぱり彼の犯したことは大きかったと思う。もったいないよ…。一人の力でいかようにもなってしまう怖さ。ほんと、そういう意味でもやっぱり一切同情できない。


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そういえば中学生のときにすごくへこんだ出来事があって、そのためにたった一度だけ学校を仮病で早退したとき、ひたすら家に篭ってこれの録画ビデオを観ていた事を思い出しました。青かったなあw